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ベイスン錠に糖尿病予防の効能が追加

以前のエントリーd:id:bonbokorin:20090901でも触れておりましたが、10月16日付で、武田薬品のベイスン錠に境界型耐糖能異常に対する健康保険適用(糖尿病の発症予防効果)が追加承認されました。

武田薬品のホームページのプレスリリースによりますと、詳細は下記の通りです:


食後過血糖改善剤「ベイスン®錠」の耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制にかかる効能追加の承認取得について


当社は、このたび、厚生労働省より、「ベイスン®錠0.2、同OD錠0.2」(一般名:ボグリボース、以下「ベイスン」)について、国内で初めて「耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制」にかかる効能追加の承認を取得しましたのでお知らせします。

ベイスンは、小腸における糖質の消化・吸収を遅らせることによって食後過血糖を改善する薬剤で、国内では1994年から糖尿病の治療薬として使用されています。本剤を耐糖能異常の患者さんに投与することによって、2型糖尿病の発症が抑制されるという効果については、本年4月に世界的権威のある医学雑誌「The Lancet」に掲載された臨床試験の結果により明らかとなっています。

耐糖能異常は、体内で糖を代謝する能力が障害を受けている状態であり、糖尿病への移行率や心血管疾患の発症リスクが高くなるといわれています。そのため、患者さんには、食事療法や運動療法を中心とした生活習慣の指導が行われていますが、それだけでは十分な効果が得られない場合もあるため、ベイスンによる薬物療法という新しい治療オプションを通じて、糖尿病の発症を抑制することが期待できます。


ただし、下記のような制約が課されました:

  1. 75gブドウ糖負荷試験(OGTT)の施行による境界型耐糖能異常の診断が必須
  2. 食事療法および運動療法を3〜6ヶ月間行っても改善されない
  3. 高血圧症または脂質異常症(高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症等)のどちらかを伴っている場合に限る


3番目の点については、さらに補足説明が必要で、添付文書の「効能・効果」のところには、「高血圧症、脂質異常症、肥満、2親等以内の糖尿病家族歴のいずれかを有する場合」とされているのに、保険適用は「高血圧症または脂質異常症のみ」であり、「肥満、2親等以内の糖尿病家族歴」では適用にならない点は要注意です(添付文書の最後の【保険給付上の注意】の箇所に注意書きあり)。「効能・効果」と「保険適用」との間にこのような顕著なズレが設けられたのは前例がなく、波紋を呼びそうです。また、レセプトの摘要欄に耐糖能異常と判断した根拠(判断した年月日とその結果)、食事療法および運動療法を3〜6ヶ月間行っても改善されなかった旨を記載すること、とされました。


このように厳しい条件をつける意味がどこにあるのか、理解に苦しみますが、おそらく、本来、該当する対象患者数が非常に多いために、医療費の高騰を恐れてのことではないかと想像されます。ただ、今回のボグリボースの臨床試験の成績からは、医療経済的見地からも予防投与を行った方がトータルでは経済的だったというシュミレーションもされているそうで、謎は残ります。


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