特定健診日記

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中国が世界一の糖尿病大国に 糖尿病有病率でも日本に匹敵

3月末に米医学雑誌New England Journal of Medicine(3月25日号)に掲載され、話題になっている論文(Prevalence of Diabetes among Men and Women in China. NEJM 362:1090, 2010.)をご紹介します。


2007年6月から2008人5月にかけて中国の14地域の自治体で4万6239人もの成人を対象(註:この人数、日本の国民健康・栄養調査の10倍規模です)に実施された血液検査等の集計データです。全例に経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行い、空腹時血糖値(IFG)と2時間値を用いて、診断未確定の糖尿病と、空腹時血糖異常(IFG)あるいは耐糖能異常(IGT)などを含む境界型糖尿病(prediabetes)を判定しています。


主な結果は下記の通りです:

  • 新たに糖尿病と診断された症例を含む中国の成人の糖尿病有病率は9.7%(男性 10.6%、女性 8.8%)。有病数は9240万人(男性 5020万人、女性 4220万人)。
  • 中国の成人の境界型糖尿病(prediabetes)の有病率は15.5%(男性 16.1%、女性 14.9%)。有病数は1億4820万人(男性 7610万人、女性 7210万人)。

また、糖尿病のうち約6割の人は、糖尿病の診断も治療も受けていなかった、とのことでした。


この中国の糖尿病有病率9.7%という数字は日本の有病率10.5%(平成19年国民健康・栄養調査結果)にほぼ匹敵する値です。IDF(国際糖尿病連合)が公表している数字は4.5%となっており、これまでの見積もりの2倍もあった!という衝撃が広がっているようです。


下図はその論文の中の図表の1つで、相対危険度を算出したものです:



これを見ますと、Less than college educationの相対危険度が1.57もあり、過体重(BMI:25.0〜29.9)の相対危険度1.43よりも高かった、という点も注目されます。2型糖尿病はほとんど自覚症状がないままに進行するのが大きな特徴であり、そうしたことを知っているかどうかも糖尿病有病率に大きく影響しているように想像されます。


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