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糖尿病大血管症に対するDPP4阻害剤の効果

今週、New England Journal of Medicineに、DPP4阻害剤(Alogliptin(武田薬品のネシーナ)とSaxagliptin(協和発酵キリンのオングリザ))の糖尿病大血管症に対する効果についての論文が2報、掲載されました:

Alogliptin after Acute Coronary Syndrome in Patients with Type 2 Diabetes (EXAMINE試験)

Saxagliptin and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus (SAVOR-TIMI 53試験)



どちらの研究でも、心血管イベントの既往があるかまたは高リスク群の2型糖尿病患者に対してDPP4阻害剤が使われ、その結果、プラセボと比較して「心血管イベント抑制効果なし」とのことでした。追跡期間は、EXAMINE試験の方は中央値1.5年、SAVOR-TIMI 53試験の方も中央値2.1年とどちらも比較的短期であり、「2年程度の短期間ではDPP4阻害剤によって血糖値を下げても心血管イベント発症リスクは下がらない」という結論でした。


血糖コントロールを改善しても、糖尿病大血管症への有意な効果が得られるには10年以上かかる、というのはUKPDSでも見られた現象であり(UKPDS80 vs UKPDS33)、ACCORD/ADVANCE/VADTでも繰り返し、糖尿病大血管症治療の難しさは語られてきたわけで、今回の結果も特に意外性はありませんが、インクレチン関連薬には血糖降下作用以外にもマクロファージなどへの効果も少しは期待されていただけに、残念と言えば残念です。


やはり、糖尿病の大血管症は境界型耐糖能異常の時期からリスクが上がっていることもあり、早期からの治療介入が必要という結論に当面、変わりはなさそうです。


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