特定健診日記

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LDLコレステロール(悪玉コレステロール)測定法にメーカー間の相違あり、標準化が課題

昨日、日本動脈硬化学会副理事長の寺本先生が記者会見をされ、特定健診などでも広く用いられてきたLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の直接測定法にはまだ問題点が多い、という発表がありました。


キャリアブレインニュースからの引用です。


 日本動脈硬化学会は4月26日、東京都内で記者会見を開き、LDL‐コレステロール(LDL-C)の直接測定法に関して、測定に用いるキットの標準化が不十分などの問題があることから、臨床の場では直接測定法ではなく、総コレステロール(TC)やHDL-コレステロール(HDL-C)、トリグリセライド(TG)から求めるFriedewaldの式(F式)を使うよう呼び掛けた。


 会見した寺本民生副理事長によると、LDL-Cの直接測定法の測定精度をめぐっては、近年、正常範囲にあるLDL‐Cの値の検出にはほぼ満足できるが、脂質異常症やTGが特に高い例などでは「外れ値」を出すものが多いなど、問題が指摘されていた。


 寺本副理事長は、直接測定法については今後、標準化や精度管理などを関係メーカーに要請する考えを表明。また、一般診療の場でLDL-Cを測定する場合は、F式(TC−HDL-C−TG/5)を用いることを基本とし、F式が使えない食後に来院した患者については、少なくとも1回は空腹での再診を求めるべきとした。さらにTGが異常高値を示す場合は、TC−HDL-Cで表すnon-HDL‐Cを参考にすべきとした。


 同学会が2007年に改訂した「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」について寺本副理事長は、「(直接測定法の位置付けなどについて)若干、誤解を招いたことは否めない。学会としても十分責任を認識している」とした上で、次のガイドライン改訂で明確に示したいと述べた。


そもそも、LDLコレステロールの直接測定法は、Friedewaldの式(F式)が使えない場合(高TG血症の場合や、絶食時でない場合)にLDLコレステロールを直接測れたら、というニーズを満たすために開発されてきたわけで、平成10年5月1日からは保険適用を受けて広く臨床現場で使われてきました。それがここへ来て、「測定値が当てにならない」というのはどうしたことなのか?非常に問題です。


現在、日本では

の7社のメーカーの測定試薬が使われているそうで、これらの間で測定値に開きがある、ということだそうです。


さらに詳しく中身を見て行きますと、「IDLのコレステロールを拾うかどうか?」の部分で一番、分かれるようで、協和メディックスの「デタミナーL LDL-C」はIDLを含み、他は含まない、ということに整理されるようです。下図はA:積水メディカル、B:協和メディックス、C:デンカ生研の3社の試薬で同じ検体を測定し、比較したデータです。


(出典:動脈硬化惹起性リポ蛋白に対するLDL コレステロール測定試薬の特異性. 臨床病理 2009;57:131-136. 協和メディックスホームページより引用)


これは「LDLコレステロールの定義」にも関わる話になりますが、どちらにせよ統一しておく必要があるのは明らかで、統一・標準化が遅れて結果的に混乱が生じてしまっているのは残念です。


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