特定健診日記

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糖尿病発症に至る血糖値・インスリン値の変化の自然経過

特定健診保健指導
2型糖尿病の発症に関して、発症前からの経過を追った観察研究の論文がこのほどlancet誌に掲載されました(Trajectories of glycaemia, insulin sensitivity, and insulin secretion before diagnosis of type 2 diabetes: an analysis from the Whitehall II study. Lancet 373: 2215, 2009.)。35〜55歳の英国の公務員(非糖尿病)6538人を平均9.7年に渡ってフォローし、観察期間中に糖尿病を発症した505人と発症しなかった6033人の間で比較をした結果です。以下に主要なデータを示します(血糖値の単位ですが、1mmol/L=18mg/dLで、5.5mmol/L≒100mg/dLです):




こちらはインスリン感受性指標のHOMA2-%S、β細胞機能を示すHOMA2-%Bの変化です:



これらのデータを眺めますと、元々のベースライン値の違いと、発症前3〜6年くらいの間に起きてくる変化の2相性の血糖上昇から成っていることがわかります。元々のハイリスクグループがあるということと、「発症前3〜6年」の変化の部分で生活習慣等に強く介入すると糖尿病発症をかなり防げる可能性が高い、という2つのことを如実に示していると言えます。これらのことは糖尿病外来を行っている者の実感としては、昔からなんとなくわかっていたことではありますが、改めてこうしたきれいなデータが得られたことは大変有意義です。


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