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抗インスリン受容体自己抗体によって発症した「B型インスリン抵抗症」がピロリ菌除菌で治癒

昨日の新聞各紙に、東北大学のグループがlancet誌に報告した「B型インスリン抵抗症」の症例報告のことが載っていました。下記は読売新聞の記事です:


 胃潰瘍(かいよう)などを引き起こすヘリコバクター・ピロリ菌が、糖尿病の一種「B型インスリン抵抗症」の原因になることを、東北大創生応用医学研究センターの片桐秀樹教授らが突き止めた。


 患者からピロリ菌を除菌したところ糖尿病が完治した。診療例は著名な英医学誌「ランセット」7月18日号に掲載された。


 B型インスリン抵抗症は、患者の免疫機能がインスリンの働きを妨げる糖尿病。数千人から数万人に1人が発症する比較的珍しいタイプで、通常の糖尿病治療はほとんど効果がない。


 片桐教授らは、B型インスリン抵抗症の患者が血小板減少症にかかっていたため調べたところ、ピロリ菌感染が判明。昨年3月に血小板減少症に対する治療として、抗生物質による除菌を実施すると、糖尿病も治癒し、現在まで再発せず完治したという。


 片桐教授は「ピロリ菌が、患者の免疫に何らかの悪影響を与えることで、糖尿病の一因になったようだ。除菌は根治療法として期待できる」と話している。

ピロリ菌感染は胃・十二指腸潰瘍や萎縮性胃炎(いわゆる慢性胃炎)の原因となることが近年広く知られるようになり、さらに胃癌との関係もほぼ確実となってきています。それらに加え、特発性血小板減少症(ITP)やMALTリンパ腫と言った特殊な疾患との深い関係も指摘されてきました。今回、ITPと抗インスリン受容体自己抗体症の合併例にピロリ除菌を行ったところ、抗インスリン受容体自己抗体も消失し、糖尿病が完治した、という報告です。下図が経過を示した図です:



頻度的にもごくまれなタイプの糖尿病ではありますが、ピロリ菌感染症に伴う様々な病態についてはまだ未解明のことが多く、「自己免疫疾患とピロリ菌の関連」に今後も要注目です。


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