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武田薬品のDPP-4阻害剤アログリプチンの先行きに不安材料?

今年、日本でも萬有製薬の新規糖尿病治療薬(シタグリプチン:DPP-4阻害剤)の承認が降りる予定で、その後にノバルティスのヴィルダグリプチンも続くと言われ、今年以降、DPP-4阻害剤が糖尿病分野で大いに盛り上がっていくことが予想されています。DPP-4阻害剤はインクレチン(食事摂取後、血糖上昇より早くインスリン分泌促進シグナルとなる消化管ホルモンのこと)作用を持つGLP-1とGIPというホルモンの分解を司るDPP-4という酵素の阻害剤で、インクレチン濃度を高めることにより、インスリン分泌を促す、という全く新しい作用機序の糖尿病治療薬です。

ところが、先般、武田薬品が米国食品医薬品局(FDA)に承認申請中だったDPP-4阻害剤「アログリプチン」について、FDAが心疾患リスクに関する詳細なデータ提示を求めたことが明らかとなり、同薬の承認が大幅に遅れるとの懸念が強まりました。株式市場も敏感に反応し、一時、ストップ安になったそうです。

ブルームバーグが報じています。

3月26日(ブルームバーグ): アジア製薬会社最大手、武田薬品工業の長谷川閑史社長は、同社の販売承認申請済みの糖尿病治療薬に対して、米国当局が追加試験を求めたことに、腑に落ちない様子だ。

 武田薬は米国で承認申請中の糖尿病治療薬「SYR−322(アログリプチン)」について米国食品医薬品局(FDA)から、審査の要件 を十分には満たしておらず、追加の心血管安全性試験が必要との指摘を受けている。

 長谷川社長は、この日の午前に開催したミレニアム・ファーマシューティカルズとの事業説明会で、SYR−322の審査に追加試験が課せられたことについて「非常に不満に思う」と述べ、不快感を示した。

 SYR−322は2011年1月に米国で特許が切れる糖尿病治療薬「アクトス」の後継候補薬。07年に販売承認申請を行い、審査終了日は今年6月26日の予定。

  ただ、米国の糖尿病治療薬の審査基準の変更に伴う追加試験の必要性が明らかになった今月9日の日本の株式市場では、アナリストの投資判断の引き下げが相次ぎ、武田薬の株価はストップ安(制限値幅いっぱいの安値)まで下落した。会社側は、審査終了日は6月26日で変更ないとの連絡をFDAから受けていると同日に発表したが、それ以降の株価は発表日前の水準にまだ戻っていない。

  長谷川社長は会見で新たな発表以上のことは何も分からないとしながらも、ただ既に申請中の同医薬品については、「FDAの最終的な判断には従う」と言う。


武田薬品のアログリプチンは、日本でも承認申請中ですが、米国での臨床試験データでそのまま日本でも申請を行う、いわゆる「ブリッジング」という手続きで承認申請を行っているため、米国で躓けば、日本でも躓くのは必至です。


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