特定健診日記

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ニコチン補充療法薬のOTC販売(薬局販売)についての疑問

禁煙外来
保健指導
先日のエントリーで、販売中止になった新薬リモナバンが欧州の一部の国でOTC販売されていたという驚くべき事実に触れましたが、それに関連して、以前からOTC化に疑問を感じていたのが、ニコチンパッチやニコチンガムといった、ニコチン補充療法薬として禁煙補助に使われているお薬です。

ニコチン補充療法というのは、禁煙に際して、一定量のニコチンを薬で体内に持ち込むことにより、禁煙時のニコチンの禁断症状を緩和しておき、そしてその際のニコチン量を漸減していくことで、最終的にニコチン依存症からの離脱を図る、という治療法です。つまり、ニコチンパッチもニコチンガムもニコチンそのものを含有しており、それ自体がニコチンの急性および慢性の中毒症・依存症を惹起しうる危険性を潜在的に有しています。例えば赤ちゃんが間違ってパッチを貼ってしまえば、最悪、死亡に至る危険性もあるわけですし、あるいは中学生などが好奇心でニコチンガムを乱用すればニコチン依存症にかかってしまう可能性もあるわけです。

そのような事情もあり、医療機関での保険適用は、現在に至るまで、ごく一部の「ニコチン依存症管理外来」のみに限定されており、しっかりとした禁煙指導の下で使うように、とされていました。

ところが、そのような状況のまま(つまり、「ニコチン依存症管理外来」のあるごく一部の病院・医院以外の一般の医療機関では事実上、使えない状況であるまま)、いきなり、薬局でのOTC販売が今年(2008年)夏より開始されてしまいました。

安全性や乱用についての懸念が払拭されているのであれば、OTC化も問題ないのでしょうけれど、もしそうなのであれば、その前に、当然、一般外来での使用が許可されてしかるべきであり、本来、そうした段階・手順をきちんと踏んで安全性についても検証されていくべきです。それをしないのは、安全性の検証という倫理を軽視するものであり、「単に保険適用医療機関の拡大により使用量が増えて医療費を圧迫するのを避けたかっただけなのでは?」と批判されても仕方ありません。今後、OTC販売されたニコチンパッチやガムで何か事件・事故が起これば、間違いなく行政の責任が厳しく問われることになるでしょう。


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