特定健診日記

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家族性高コレステロール血症に対するスタチン系薬剤の圧倒的な効果の再確認

先月末のBMJ誌に掲載された論文(Efficacy of statins in familial hypercholesterolaemia: a long term cohort study. BMJ 337:a2423, 2008.)のご紹介です。スタチン系薬剤は家族性高コレステロール血症に対する第一選択薬として既に確立しているため、プラセボを対照とした臨床試験は倫理的観点から行われていません。今回のオランダでの研究では、スタチンが承認された直後から患者を追跡する方法により、スタチン使用の有無と冠イベントの関係を分析し、スタチン治療が家族性高コレステロール血症の虚血性心疾患イベントリスクを約80%低下させることを明らかにしました(下図参照)。



また、スタチンのリスク低減がどの程度であるかをさらに明らかにするために、55歳以上の人で、一般集団(Rotterdamスタディに登録された一般集団)と今回の家族性高コレステロール血症群との間で心筋梗塞発症リスクを比較してみたところ、心筋梗塞絶対リスクは、一般集団で1000人当たり4.1件、家族性高コレステロール血症-スタチン使用群が1000人当たり6.7件、非使用群は1000人当たり60.5件で、一般集団と使用群を比較したところ、生年と性別で調整したハザード比は1.44(p=0.23)で有意差は見られない一方、非使用群のハザード比は8.69となり、一般集団に比べリスクは明らかに高いことがわかりました(下図参照)。



家族性高コレステロール血症は診断がついた時点で即座にスタチン治療を開始すべきであるという現在のコンセンサスが再確認された形ですが、こうしたデータを見ますと、スタチン系薬剤の圧倒的な効果・恩恵が改めてよくわかります。スタチンは日本発の世界に誇るべきお薬です。


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