特定健診日記

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内臓脂肪悪玉説に異議あり—内臓肥満がない肥満もメタボになりえます

特定健診保健指導
メタボリックシンドロームの人にはしばしば内臓脂肪の過剰、すなわち内臓肥満があることは広く知られるところとなってきましたが、それと同時に、内臓脂肪そのものが悪い働きを持っているかの如き言説も流布されてきました。まだその点について最終的に決着がつくような科学的根拠は得られていないわけですが、いくつかの「状況証拠」から、内臓肥満はメタボの「指標」ではあっても、病態の「起点」「主役」ではおそらくない、と個人的には考えています。その状況証拠のひとつを下記に示します。


このグラフの見方ですが、「内臓肥満のある人はない人に比べ、メタボの率が高い」ということは確かに言えますが、同時に、「『肥満ではあるが内臓肥満のない人』も一定の危険度(『肥満はないが内臓肥満だけはある人』と同等)はある」ということを示しています。つまり、内臓肥満が悪玉の親分であれば、それがない肥満の人は健康でなければならないわけですが、決してそうではない、ということです。

内臓脂肪から放出される遊離脂肪酸は門脈に入り、肝臓へダイレクトに運ばれるため、肝臓でのVLDL合成を促進しやすい、というような、「内臓肥満の解剖学的位置付け」は正しいわけですが、皮下脂肪からの遊離脂肪酸も全身循環からやはり門脈には入ってくるわけで、遊離脂肪酸の議論ひとつを取ってみても、内臓脂肪「だけ」が悪いという議論には無理があります。また「内臓脂肪は脂肪細胞の性質が皮下脂肪とは異なっていて、悪いアディポカインを分泌している」というような仮説も、上述のようなデータを冷静に見ると、正しくない可能性の方が高いように思います。


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