特定健診日記

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メタボ「腹囲」偏重に異論?厚労省下方研究班「関連強くない」

特定健診保健指導
メタボの診断に腹囲測定は役立つのか?の議論はまだ定まらない様子です。本日の読売新聞で報じられた内容です。

 メタボリックシンドローム内臓脂肪症候群)の診断基準は、腹囲が男性85センチ以上、女性で90センチ以上あることを必須条件としているのに対し、単に腹囲が大きいだけでは生活習慣病の危険要因としては不十分という調査結果を、下方浩史・国立長寿医療センター(愛知県大府市)研究所部長を班長とする厚生労働省研究班がまとめた。

 メタボ基準を巡っては、男性の腹囲が女性より厳しいことなどについて異論が続出しており、今回の結果も見直し論議に一石を投じそうだ。

 研究班では、無作為に選んだ愛知県内の40〜82歳の男女3253人について、内臓脂肪の断面積をコンピューター断層撮影法(CT)で計測。内臓脂肪面積が100平方センチ以上の肥満の人とそれ未満の人で、2000年から6年間、心臓病や脳卒中を引き起こす動脈硬化の進み具合を、心臓の冠動脈や脳血管の梗塞(こうそく)の有無など6項目で比較した。

 肥満の人は、そうでない人に比べ、動脈硬化のある人の割合が、心臓の冠動脈は女性では約1・2倍だが男性では差がみられず、脳内の細い血管は男性は約1・2倍だったが女性では差はあまりなかった。6項目すべてで差は1・5倍未満にとどまり、「全体として関連はそれほど強くない」(下方部長)と分析された。

 メタボの基準では内臓脂肪面積が100平方センチ以上の場合に危険が高まるとして、それに該当する腹囲(男性85センチ以上、女性90センチ以上)が定められた。今年度始まった「特定健診」(メタボ健診)では、腹囲が基準を超えていなければ、血圧、血糖値、脂質のすべてに異常があっても、指導の対象にならない。

この記事は、平成18(2006)年度〜20(2008)年度に、厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究として行われた「内臓肥満の要因と動脈硬化促進に関する総合的研究」の研究成果に基づくものです。厚生労働科学研究成果データベースから検索しますと昨年度分までの成果報告が閲覧できます(肝心の今年度分は来年の公開になりそうです)。


以前のエントリーd:id:bonbokorin:20090129:p2でも取り上げましたが、この研究とほぼ同じタイムスケジュールで行われている、別の厚生労働省の班研究「保健指導への活用を前提としたメタボリックシンドロームの診断・管理のエビデンス創出のための横断・縦断研究」(平成19(2007)年度〜平成21(2009)年度:門脇孝班長)では国内の9コホート(北海道端野・壮瞥町山形県舟形町、福岡県久山町(第3集団)、MONKS、広島健診者集団、茨城県筑西市協和地区、大阪府八尾市南高安地区、大阪府吹田市沖縄県豊見城市検診集団)の疫学データ(合計3万人以上)を統合して、腹囲基準の再検討を行っている最中ですが、この研究班の中間報告について報じた今年1月29日付朝日新聞の報道によると、

研究班によると、中間解析はこのうち男女1万6千人のデータを使い、心筋梗塞との関係を調べた。基準とする腹囲を大きく設定すると、発症リスクの高い人を見落とす恐れがある。一方、小さく設定しすぎると、リスクの低い人も誤ってメタボと判定してしまうため、見逃しや過剰な判定が最も起こりにくいサイズを計算した。

 この結果出たのが男性84、女性80。腹囲がこれより大きいと、小さい人に比べて心筋梗塞を起こすリスクが男性で2.4倍、女性で1.6倍高いという。

 研究班は、別の分析手法で高血圧や高血糖などを起こしやすくなる腹囲も計算。同じ数値だったという。

とのことです。


同様の研究でも結果が異なることはよくあることですが、それらの結果を統合したメタ解析でどのような結論になるのか、きちんとした見解を厚生労働省は示す必要がありそうです。


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