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2010年改定、新糖尿病診断基準の要点

5月末の第53回日本糖尿病学会年次学術集会で承認・決定され、11年ぶりとなる糖尿病診断基準改定ですが、その詳細が本日、日本糖尿病学会のホームページ上に公開されました。基本的には昨年秋の中間報告(d:id:bonbokorin:20091103:p1をご参照ください)とほぼ同じ内容になっております。


要点としましては、HbA1cを前面に出した形で再構築し、「HbA1cと血糖値を組み合わせることで、一度の採血で糖尿病の診断を可能に」ということと、そのためのHbA1cの具体的なカットオフ値を6.1%以上とした、ということになります。下記に診断フローチャートを示します:


<2010年糖尿病新診断基準のフローチャート



また、HbA1cのカットオフ値を6.1%と定めた根拠について、下記のような健診データが示されました:


空腹時血糖値HbA1cの関係>



<75gブドウ糖負荷試験2時間値とHbA1cの関係>



また、そもそも空腹時血糖126mg/dlやOGTT2時間値200mg/dlという根拠も糖尿病網膜症の発症頻度との関係から定義されてきたものですが、HbA1c値と糖尿病網膜症の関係も改めて調べてHbA1c6.1%以上をカットオフとして整合性に問題がない、ということも下記のデータで示されました:


HbA1c値と糖尿病網膜症の関係>



以上が主な改定内容です。この内容は基本的に、厚生労働省の国民健康・栄養調査で使われてきた「HbA1c6.1%以上=糖尿病が強く疑われる群」としてきたカットオフ値とも整合性の取れたものであり、また、米国糖尿病学会(ADA)や国際糖尿病連合(IDF)のHbA1c6.5%(NGSP値で)というカットオフ値とも整合性の取れたものになっています。つまり、「NGSP値でのHbA1c6.5%≒JDS値でのHbA1c6.1%」であり、ADAやIDFの診断基準では、HbA1cのみで診断してよいことになっている点(血糖値を考慮しない点)が日本の診断基準との違いですが、値そのものの基準は同じです。


この「HbA1c値のNGSP値とJDS値のズレ」という問題が今回の診断基準改定に重なったために、ややわかりにくい表現になっていますが、JDS値に0.4を加えたものをNGSP相当値とする」ということも定められ、できるだけわかりやすくする工夫が凝らされています。


その他に、妊娠糖尿病の診断基準も国際的な整合性の観点から下記のように微修正されました:

<妊娠糖尿病の診断基準>


初診時およびインスリン抵抗性の高まる妊娠中期に随時血糖値検査を行い、100mg/dl以上の陽性者に対してOGTTを施行して診断する.


空腹時血糖値≧92mg/dl
・1時間値≧180mg/dl
・2時間値≧153mg/dl

の1点以上を満たした場合に妊娠糖尿病と診断する.


※但し,「臨床診断」における糖尿病と診断されるものは除く.


糖尿病診断アクセス革命

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