特定健診日記

生活習慣病・メタボについてのホットトピックスを発信中

リキスミア:基礎インスリンとの併用可能なGLP-1アナログ、9月中旬発売へ

基礎インスリン補充療法(1日1回、長時間作用型のインスリン製剤の注射を行う治療法)中の糖尿病にも使用可能な、初めてのGLP-1アナログ製剤であるリキスミア(一般名:リキシセナチド)が8月27日、薬価収載され、9月17日より販売開始になるそうです。



下図は、基礎インスリン補充療法の糖尿病患者にリキシセナチドを上乗せした場合のHbA1c低下作用を見た臨床試験のデータですが、確かにHbA1cがよく下がっています:



(Seino Y, et al.: Diabetes Obes Metab 14(10): 910-917, 2012)


分子構造としては、Exendin-4によく似ており、38位のProを欠失させ、C末端へ6個のLysを付加したものです。これらの分子改変により、血中での安定性が向上し、Exendin-4に比べて半減期が長くなっています:



用法・用量は下記の通りです:


通常、成人には、リキシセナチドとして、20μgを1日1回朝食前に皮下注射する。ただし、1日1回10μgから開始し、1週間以上投与した後1日1回15μgに増量し、1週間以上投与した後1日1回20μgに増量する。なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、1日20μgを超えないこと。


基礎インスリンとの併用により、GLP-1製剤の使い勝手は飛躍的に向上しそうで、大いに期待されます。


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糖尿病大血管症に対するDPP4阻害剤の効果

今週、New England Journal of Medicineに、DPP4阻害剤(Alogliptin(武田薬品のネシーナ)とSaxagliptin(協和発酵キリンのオングリザ))の糖尿病大血管症に対する効果についての論文が2報、掲載されました:

Alogliptin after Acute Coronary Syndrome in Patients with Type 2 Diabetes (EXAMINE試験)

Saxagliptin and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus (SAVOR-TIMI 53試験)



どちらの研究でも、心血管イベントの既往があるかまたは高リスク群の2型糖尿病患者に対してDPP4阻害剤が使われ、その結果、プラセボと比較して「心血管イベント抑制効果なし」とのことでした。追跡期間は、EXAMINE試験の方は中央値1.5年、SAVOR-TIMI 53試験の方も中央値2.1年とどちらも比較的短期であり、「2年程度の短期間ではDPP4阻害剤によって血糖値を下げても心血管イベント発症リスクは下がらない」という結論でした。


血糖コントロールを改善しても、糖尿病大血管症への有意な効果が得られるには10年以上かかる、というのはUKPDSでも見られた現象であり(UKPDS80 vs UKPDS33)、ACCORD/ADVANCE/VADTでも繰り返し、糖尿病大血管症治療の難しさは語られてきたわけで、今回の結果も特に意外性はありませんが、インクレチン関連薬には血糖降下作用以外にもマクロファージなどへの効果も少しは期待されていただけに、残念と言えば残念です。


やはり、糖尿病の大血管症は境界型耐糖能異常の時期からリスクが上がっていることもあり、早期からの治療介入が必要という結論に当面、変わりはなさそうです。


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レグテクト(一般名アカンプロサートカルシウム):アルコール依存症の断酒補助剤が新発売

本日(5月27日)、アルコール依存症の断酒補助剤「レグテクト」(一般名アカンプロサートカルシウム)が本邦新発売となりました。脳内の主要な抑制性神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)と構造上の類似性を有するホモタウリンの誘導体で、中枢神経系に作用し、アルコール依存で亢進したグルタミン酸作動性神経活動を抑制することでアルコール依存症患者の飲酒欲求を抑制すると考えられているそうです。1987年からフランス、1994年からヨーロッパで、2004年から米国で承認され、現在、世界の24ヵ国で販売されています。


効能効果・用法用量は以下の通りです:

  • 効能又は効果

アルコール依存症患者における断酒維持の補助

  • 用法及び用量

通常、成人にはアカンプロサートカルシウムとして666mgを1日3回食後に経口投与する。
本剤の投与期間は原則として24週間とすること。治療上の有益性が認められる場合にのみ投与期間を延長できるが、定期的に本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を漫然と投与しないこと。

  • 効能・効果に関連する使用上の注意
  1. アルコール依存症の診断は、国際疾病分類等の適切な診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ使用すること。
  2. 心理社会的治療と併用すること。
  3. 断酒の意志がある患者にのみ使用すること。
  4. 離脱症状がみられる患者では、離脱症状に対する治療を終了してから使用すること。


実際の断酒成功率については、インタビューフォームに以下のデータが掲載されています:



アルコール依存症患者さんへの福音となるかどうか、期待されます。


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「商店街で糖尿病チェック!」イベント、6月24日(日)に北千住で開催

指先で簡単にHbA1cを測定できる最新の医療機器を用いて、「商店街で糖尿病チェック!」という画期的なイベントが来週日曜日(6月24日)、北千住の商店街で開催されるそうです。



詳細はこちらです。


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「ドラッグストア・薬局で血糖値の推移が簡単に測定できるなら、利用したい主婦は半数近く」 - インターネット調査結果

当ブログでも応援している「糖尿病診断アクセス革命」ですが、今週、事務局で実施した糖尿病についてのインターネット意識調査の結果が報告されました。以下は47NEWSからの引用です:

  • 健診を1年以上受けていない主婦は、半数以上(55%)。30代主婦では8割(80%)と高い。
  • 「自分より家族の健康を気づかいがち」な主婦が8割(80%)。その一方、3人に2人(66%)が「本当は自分の健康が心配」。
  • 自分の健康で心配なことは、女性特有の病気(乳がん、子宮がんなど)が7割(71%)。血糖値への意識は、30代主婦でわずか1割強(13.3%)と低い。
  • 糖尿病の理解の基礎となるインスリンへの理解は低く、インスリンが「すい臓」から分泌されるホルモンだと知らない主婦が半数近く(47%)。
  • 家族(血縁)に糖尿病患者がいる主婦は3割(31%)。このうち、1年以内に健診を受けていたのは4割弱(39%)で、3割強(31%)が「将来、自分が糖尿病になるとは思わない」と回答。
  • ポッチャリ主婦は3人に1人(32%)が健診を5年以上受けていない。8割以上(84%)が「自分より家族の健康を気づかいがち」な一方、「本当は自分の健康が心配」も8割強(81%)。半数強(51%)が血糖値を心配し、8割以上(84%)が将来、糖尿病になるかもしれないと不安。
  • 最寄りのドラッグストア・薬局で血糖値の推移が簡単に測定できるなら、利用したい主婦は半数近く(46%)。


【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査対象:30代〜60代の主婦(会社員・公務員を除く)300人 
調査期間:2011年9月14日〜15日


特に目を引いたのは、「近くのドラッグストア・薬局で糖尿病のチェックが受けられるなら利用したい」と希望した人が半数にも上ったという結果です。これはまさに「糖尿病診断アクセス革命」が実施中のサービスであり、今後のさらなる普及・定着が望まれます。


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「ジャヌビア」「グラクティブ」がインスリンと併用可能に

DPP-4阻害剤シタグリプチン(商品名「ジャヌビア」「グラクティブ」)にインスリンとの併用の効能・効果が9月16日より追加になりました。以下はMSD株式会社のプレスリリースからの引用です:


本日、経口2型糖尿病治療薬「ジャヌビア®錠(一般名:シタグリプチンリン酸塩水和物、以下ジャヌビア®)」のインスリン製剤との併用療法に関する効能追加承認を取得いたしました。今回の効能追加は、DPP-4阻害剤では初となります。


インスリン製剤は、1型糖尿病のみならず2型糖尿病の患者さんにも広く使用されています。今回の追加承認取得により、ジャヌビア®は2型糖尿病の単剤療法、併用療法において、治療早期から患者さんの病態に応じた幅広い治療オプションを提供することが可能となりました。


承認取得によるジャヌビア®の効能・効果は以下の通りです:


2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る

  1. 食事療法・運動療法のみ
  2. 食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用
  3. 食事療法・運動療法に加えてチアゾリジン系薬剤を使用
  4. 食事療法・運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用
  5. 食事療法・運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害剤を使用
  6. 食事療法・運動療法に加えてインスリン製剤を使用(追加の効能・効果)


インクレチン製剤はこれまでインスリン療法との併用が保険適用として認められてきませんでしたが、実際の使用報告としては有効性が言われていました。今後、GLP-1アナログ製剤にもインスリン療法との併用が認められていく方向に適用が拡大し、病態に合った治療法の選択肢が広がることが期待されます。


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